「鉄板映画:人気スター映画のブログ」

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鉄板映画:『ソルジャー・ボーイ』(1972年:ジョー・ドン・ベイカー、ジェフリー・ルイス)

「鉄板映画:人気スター映画のブログ」ベトナム帰りの四人組が小さな町を戦場に変えてしまう異色作。除隊後、災難が続いて次第に正気を失う青年たち。戦闘、虚無感に注目です。

1.ストーリー
ベトナム帰りの四人組が農場を経営する夢のためにカリフォルニアへ向かうが・・・。

2.キャスト
ジョー・ドン・ベイカー(四人組)
ポール・コスロ(四人組)
エリオット・ストリート(四人組)
アラン・ヴィント(四人組)
ジェフリー・ルイス(モーテルの経営者)

3.注目のシーン
①主役
ベトナム帰りの四人組、ダニー(ジョー・ドン・ベイカー)、シューター(ポール・コスロ)、ファットバック(エリオット・ストリート)、キッド(アラン・ヴィント)。陸軍を除隊し、四人で農場を経営するためカリフォルニアへ向かう。

②キャラ
四人がカリフォルニアへの道中で出会う人たち。中古車屋、車が故障して立ち往生する女、ダニーの父母&妹夫婦、同級生、閑古鳥が鳴くモーテルの経営者(ジェフリー・ルイス)、車の修理人、バーで四人組にからむ連中、保安官、喫茶店の店主、四人組をイラつかせる小さい町の住人&警官、ほか。

③戦闘
四人がカネを出し合ってカリフォルニアへ向かうがハプニングの連続。途中で車が故障したり、カネを盗られたりして金欠に。追い込まれて次第にイライラし始める四人組。ニューメキシコの小さな町「ホープ」で給油しようとするが、スタンドは閉まったまま。住民が発砲したことで四人組はベトナムの戦場に戻ったかのように銃や手榴弾で町を破壊し始める。

4.感想
愉快な四人組の映画かと思ったら全然違いました。コンセプトはまさにシルヴェスター・スタローンの『ランボー』。ベトナムから帰ってきた四人組。所持金はそれほどでもない。そんな状況で不運が続く。これだけだったらよくあること。しかし、バーに行けばベトナムでの米軍の非道さを非難されたり、5年ぶりに再会した同級生はどこかよそよそしかったり。ダニーの実家では他の三人は邪魔者扱いされてしまう。家族ではなく戦友を選んだダニー。彼ら四人組は夢に向かっているのか、それとも・・・。戦争が人間や人間関係を変えてしまう様子を描いた映画。どこに行っても嫌われる「ジョン・ランボー」の悲しさを描いた『ランボー』、ロバート・デ・ニーロディア・ハンター』もそういう映画でした。何が兵士を変えてしまったのでしょうね? 国のために尽くす目的で入隊する若者たち。しかし、戦場では上官の命令は絶対で逆らうことができない。命令されればどんなに間違ったことでも残酷なことでも実行しなければならない。そういった非情さが人間を変えてしまい、戦後もその記憶から抜け出せなくなるのではないかと思われます。四人組の不運、周囲の人間たちの彼らに対する蔑視・ズルさ、戦闘シーンが見せ場の深刻な映画。四人組が500ドルを要求するしつこい女を車から放り出すシーン、腐った橋が壊れて池に落下してはしゃぐシーン、変わったキャラのモーテルの経営者(明るく振る舞っているが、この人も四人組と同様、世の中の変化により損をしてキレる寸前)、といった(少し)ユーモラスなシーンもあります。四人組の表情に注目しながら鑑賞することをオススメします。

ジョー・ドン・ベイカー:貫禄タップリの役者。『組織』ではロバート・デュバル、『ケープ・フィアー』ではロバート・デ・ニーロニック・ノルティ、『ホワイトハウス狂騒曲』ではエディ・マーフィと共演。『007/リビング・デイライツ』ほか。
ポール・コスロ:『マジェスティック』ではチャールズ・ブロンソンにぶっ飛ばされるナマイキなチンピラを演じた。『地球最後の男 オメガマン』ほか。

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