「鉄板映画:人気スター映画のブログ」

名作映画全集。ジャンルを問わず多くの作品を紹介。全記事無料です。

鉄板映画:『ピグマリオン』(1938年:レスリー・ハワード、ウェンディ・ヒラー)

「鉄板映画:人気スター映画のブログ」言語学者がロンドン貧民街の花売り娘を「貴婦人」に育てようとするコメディ映画。発音練習、ダンスで女が洗練されていく過程に注目です。

1.ストーリー
個性的な言葉を好む言語学者がロンドン貧民街出身の花売り娘の言葉遣いに興味を引かれ・・・。

2.キャスト
レスリー・ハワード(言語学者
ウェンディ・ヒラー(花売り娘)
ジーン・キャデル(家政婦)
スコット・サンダーランド(大佐)

3.注目のシーン
ギリシャ神話
神話に登場するピグマリオン王の逸話を元にジョージ・バーナード・ショーが脚本を書いた映画。彫刻作りが趣味だった王。神々に頼んで自分が作った像に命を与えてもらったという。『ピグマリオン』はある言語学者が「粗野な女」を「洗練された女」に作り上げる話である。

②主役
ロンドンで花を売る女イライザ(ウェンディ・ヒラー)。自分のことを「あたい」と言ったりする。そんなイライザを興味深そうに観察するヒギンズ(レスリー・ハワード)。ヒギンズは発音学の権威で、友人のピカリング大佐(スコット・サンダーランド)と共にイライザを「きちんとした言葉遣いができる貴婦人」に変身させてみようなどと考える。 

③キャラ
ヒギンズの家政婦(ジーン・キャデル)はあきれながらもイライザの世話係を務める(イライザが初めて入浴するシーンに注目)。洗練されていくイライザにホレてしまう男も現れる(フレディ:演デヴィッド・トゥリー)。イライザに興味を引かれる社交界の人々、ヒギンズの母、弟子、イライザのオヤジ(この人の言葉遣いも個性的)にも注目されたい。

④笑い
成長したイライザに言い負かされてヒギンズはイライラ。階段でコケたりする。

4.感想
変わった映画。妙なストーリー展開。変わり者の言語学者が個性的な言葉を使う女に興味を持つ。それだけなら理解できなくもないが、その女を「社交界にデビューさせよう」などと考えるのはいかがなものか。イライザは発音やマナーレッスンの効果もあって言葉遣いや振る舞いが洗練されていくが、どこかぎこちないところがあり、ヒギンズの友人や社交界の人々から疑いの目で見られてしまう(やっぱり)。イライザを「洗練された女」に作り上げてどうしようというのか? ヒギンズは「その後のことは知らん」と言う(無責任)。「洗練された女」になったイライザ。「ニセ貴婦人」であるため社交界に入れるワケがない。洗練されてしまったため貧民街の花売りにも戻れない。イライザはどう生きていくつもりなのか?  うぬぼれた言語学者が「自分の指導能力」を証明するため貧しい女で実験する映画。実に余計なお世話のヒギンズとかいう奴。エラそうな態度。(個人的に)気に食わないキャラですが、これはコメディですから。成長した人間が「新たな世界」を求めざるを得ない状況になる映画。「人生の選択」がテーマの個性的な作品です。

レスリー・ハワード:イギリスの俳優。『風と共に去りぬ』(1939年)での「アシュレイ・ウィルクス」役で有名。女性にモテる男だったが、第二次世界大戦中、乗った旅客機を撃墜されて死去。

---------------

Amazonショッピングサイトへのリンクです。
ピグマリオン [DVD]
---------------

この続きはcodocで購入